2008年06月04日
第33回厩舎関係者研修会その1【覆面厩務員】
第33回厩舎関係者研修会に参加してきた。
お題は『栗東トレセンでの馬インフルエンザ』と『ポリトラック馬場』について。
前回書いた『栄養学講演会』とは違い、ファンの方にも興味深く感じられるお題かもしれない。今回は講演の内容についても触れる。
まずは馬インフルエンザについて。
昨年の8月15日、36年ぶりに馬インフルエンザが確認された。
16日の記者会見では予定通り競馬を開催するという方針が示されるも、翌日は一転して開催の取りやめを発表。翌週からすぐに競馬が再開されたが、今でもこの過程に疑問や不信感を抱いている人は少なくないだろう。実際はどんな状況だったのか?具体的な数字を挙げつつ振り返ってみたい。
インフルエンザの発症は8月11日あたりと推定されている。確認されたのは15日、東西のトレセンで同時に発生した。翌16日にはローカルの競馬場でも確認。JRAは開催の意向を示したが、17日に出走馬の約2割が陽性と診断され開催中止を決定。栗東トレセンでは18日にウイルス陽性発熱馬が40頭弱とピークを迎えた。しかしその後陽性発熱馬が減少、競馬が再開された25日には陽性発熱馬はわずか1頭となった。その後は11月、1月、3月、5月と少数の陽性馬が見つかった程度。現在に至っている。
数字を照らし合わせてみると、翌週の開催は正しかったと言える。今となっては当然の選択と感じるかもしれないが、当時は強行開催だと主張する人が多かった。そんな中、完全沈静化を待たず、陰性が確認された馬のみでの開催を選択したのは、英断であったと認めなければならないだろう。この点はもっと評価されていい。
しかし、前週の対応がまずかった。
一転して開催を中止にした事そのものは、結果論になるので今更どうこう言うつもりはない。しかし栗東で、わずか21頭しか検査できなかったという状況の中、馬運車に乗せて競馬に向かわせたという事実は忘れてはならないだろう。結果として栗東に引き返す事となったが、陽性馬か陰性馬か分からない馬達を密室に閉じ込め、自ら感染の拡大を招く状況をつくったのだ。翌日が陽性発熱馬のピークであったという数字と照らし合わしてみても、判断が甘すぎたと言わざるをえない。
その日の会見では、JRAの危機管理について『常に緊張感を持って仕事をしているつもりだが、危機管理の甘さが指摘されていることは、現場にもよく伝えたい。 』とコメントされた。緊張感をもって仕事しているならば、なぜ朝の馬運車出発時間までに結論を出せなかったのか?
朝までに検査の結果がでなかったのか?夜通しで結論を出せなかったのか?指揮系統の複雑さから決断が遅れたのか?実際のところは分からない。色々な方向からの圧力もあった事だろう。しかし、いずれが原因にせよ本気で取り組めば、朝までに解決出来ない事ではない。JRAの緊急事態における対応の鈍さを露呈したと言っても過言でない。毎度お決まりのお役所体質が原因でなのではないか?と疑われても仕方がない。『現場にもよく伝えたい』ではく、まずは自らが反省しない事には、今後も同じ様な失敗を繰り返すだけだろう。
今回は総じて症状が軽かったからよかっただけである。このままでは今後、重大かつ緊急な事態になった際、取り返しのつかない状況を招きかねないと感じる。結果オーライで済まされる問題ではないはずだ。
お題は『栗東トレセンでの馬インフルエンザ』と『ポリトラック馬場』について。
前回書いた『栄養学講演会』とは違い、ファンの方にも興味深く感じられるお題かもしれない。今回は講演の内容についても触れる。
まずは馬インフルエンザについて。
昨年の8月15日、36年ぶりに馬インフルエンザが確認された。
16日の記者会見では予定通り競馬を開催するという方針が示されるも、翌日は一転して開催の取りやめを発表。翌週からすぐに競馬が再開されたが、今でもこの過程に疑問や不信感を抱いている人は少なくないだろう。実際はどんな状況だったのか?具体的な数字を挙げつつ振り返ってみたい。
インフルエンザの発症は8月11日あたりと推定されている。確認されたのは15日、東西のトレセンで同時に発生した。翌16日にはローカルの競馬場でも確認。JRAは開催の意向を示したが、17日に出走馬の約2割が陽性と診断され開催中止を決定。栗東トレセンでは18日にウイルス陽性発熱馬が40頭弱とピークを迎えた。しかしその後陽性発熱馬が減少、競馬が再開された25日には陽性発熱馬はわずか1頭となった。その後は11月、1月、3月、5月と少数の陽性馬が見つかった程度。現在に至っている。
数字を照らし合わせてみると、翌週の開催は正しかったと言える。今となっては当然の選択と感じるかもしれないが、当時は強行開催だと主張する人が多かった。そんな中、完全沈静化を待たず、陰性が確認された馬のみでの開催を選択したのは、英断であったと認めなければならないだろう。この点はもっと評価されていい。
しかし、前週の対応がまずかった。
一転して開催を中止にした事そのものは、結果論になるので今更どうこう言うつもりはない。しかし栗東で、わずか21頭しか検査できなかったという状況の中、馬運車に乗せて競馬に向かわせたという事実は忘れてはならないだろう。結果として栗東に引き返す事となったが、陽性馬か陰性馬か分からない馬達を密室に閉じ込め、自ら感染の拡大を招く状況をつくったのだ。翌日が陽性発熱馬のピークであったという数字と照らし合わしてみても、判断が甘すぎたと言わざるをえない。
その日の会見では、JRAの危機管理について『常に緊張感を持って仕事をしているつもりだが、危機管理の甘さが指摘されていることは、現場にもよく伝えたい。 』とコメントされた。緊張感をもって仕事しているならば、なぜ朝の馬運車出発時間までに結論を出せなかったのか?
朝までに検査の結果がでなかったのか?夜通しで結論を出せなかったのか?指揮系統の複雑さから決断が遅れたのか?実際のところは分からない。色々な方向からの圧力もあった事だろう。しかし、いずれが原因にせよ本気で取り組めば、朝までに解決出来ない事ではない。JRAの緊急事態における対応の鈍さを露呈したと言っても過言でない。毎度お決まりのお役所体質が原因でなのではないか?と疑われても仕方がない。『現場にもよく伝えたい』ではく、まずは自らが反省しない事には、今後も同じ様な失敗を繰り返すだけだろう。
今回は総じて症状が軽かったからよかっただけである。このままでは今後、重大かつ緊急な事態になった際、取り返しのつかない状況を招きかねないと感じる。結果オーライで済まされる問題ではないはずだ。
日時: 2008年06月04日 13:25
カテゴリー: 厩舎の裏話

