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« 人気馬が負けた理由~札幌記念【blandford】 | 穴馬発見~パドック全頭解説/函館記念【blandford】 »

2010年08月20日

アプリコットフィズが7枠12番で勝てた理由【blandford】

クイーンSの前になると、毎年毎年「内枠の馬じゃなきゃダメ」というエントリを書くんですが、今年は見事に7枠12番のアプリコットフィズが完勝。これはいったいどういう要因によるものなのか、ちょっと検証しておきましょう。

端的に言うと「武豊うまい!」「馬のデキも抜群」「血統背景」この3つなんですけどね。

まずパドックの状態。
僕はクイーンSではよほどのことがない限り7枠と8枠の馬は推奨しない、と決めてかかってたんです。実際、7枠11番のレジネッタは、この馬にしては珍しくしっかりヒザを使って歩いていて、いかにも走りそうな雰囲気出してたんですが、パドチャでは推奨していません。(結果は4着)
8枠の2頭、ピエナビーナスとウェディングフジコはデキがイマイチ。とくにピエナビーナスは見た瞬間に去年のデキにはない歩様だったのですぐに消しましたが、レジネッタは少し迷いました。

しかしアプリコットフィズは迷う必要まったくなし。
ヒザを力強く使ってぐいぐいと推進力のある歩様で、しかも重心バランスもしっかりしてるし、体重が増えて身体のバランスも春よりいいので、「本当ならまったく買いたくない札幌1800の7枠」であるにもかかわらず、「これは必ず走ります」という身体つきをしてるわけです。

で、しぶしぶ・・・という感じに推奨(笑
パドックの馬体はこれが断然だったので、逆らうわけにはいきませんよね。

そして大きな好走要因が、レースの流れにありました。
ラップがこれです。

---------------------------------------------------------
12.4 - 11.5 - 12.3 - 12.8 - 11.6 - 12.0 - 11.8 - 11.2 - 12.0
---------------------------------------------------------

札幌の芝では、特に開幕週の場合、4角で外を回されると致命的なのを豊さんはよく知ってるので、スタートしてすぐに前のポジションを取りに行きましたね。
ここで馬をけっこう出してるんですけど、上のラップので表記した部分、ここでガタッとラップが落ちたときに、まったく無理せず豊さんもここでいったん馬を休めているわけです。

これだけこの2ハロンがペース落ちると、下手な騎手だと逃げている馬を交わして先頭に立ったり、あるいは先頭に立ちたがる馬をなだめるのに苦労したり、というシーンが見られるんですが、まったくそんな素振りは見せずに折り合いピタリ。これがいわゆる「脚を溜める」というヤツです。
このへんが豊さんの真骨頂なんですよね。
昔むかし、岡部さんがまだバリバリ現役でしかもキャリアのピークだった頃、「向こう正面は何があっても動いていけない」という意味のことをどこかでコメントされてましたが、豊さん、さすがでした。

こので表記した部分は、競馬の流れの中で言うと1コーナーから2コーナーの中間部分から、2コーナーを抜けて向こう正面に入るまでの間。
ゲートを出て前のポジションを取りに行くと、普通はかなり加速しなくてはいけなくて、うまく馬を操縦できないとそのまま減速できずに、カーブでさらに勢いがついてしまう、ということが1コーナーから2コーナーにかけてはありがちなんですが、もしそうなっていたら完全にアウトだったでしょうね。

それで、12秒8のあとにいきなり11秒6という、ハロンラップ1秒2も違う区間が出現するんですが、これはかなりの幻惑ラップ。逃げたマルティンスタークにどんな意図があったのか分からないんですが、ここは意図があったというよりはコーナーを出て黛騎手がやや抑えきれなくなってる、ということだったのかもしれません。
これだけラップが変わると、追走にちょっと手が動いたりもするんですが、逆に馬(アプリコットフィズ)はここで走りやすそうにしていますね。12秒8のところでは豊さんが「絶対ここでハナに立たない」という感じで馬を抑えているので、馬にしてみれば、「やっと自分のフットワークで走れる」というところだったかもしれません。

そしてもうひとつ見事だったのが、きっかり「残り3ハロン」の標識のところで先頭に立って、4角では圧倒的に有利な「最内」のポジションをがっちり取っていること。
そして、4角から直線に向けての「ラストから2番目」のラップを、11秒2という、レース最速ラップでまとめていること。

これは僕がよく言う「逃げ馬必勝のラップ配置」で、ここで最速ラップを使って後続を引き離すと、後ろから来る馬は大抵の場合、この時点の先頭の馬を差すのが困難となります。
で、平坦札幌で最後の1ハロンが12秒0にガタッと落ちてるんですが、まったく危なげなし。

豊さん、本当に美しい騎乗で、まさに芸術的な職人芸でした。

アプリコットフィズの血統背景を見ると、母母がサトルチェンジ。
その、サトルチェンジの代表産駒が、ご存知マンハッタンカフェですよね。
マンハッタンカフェといえば、夏の札幌で芝2600を2連勝して一気に頭角を表し、菊花賞と有馬記念を連覇するまでになった馬。アプリコットフィズはその一族なので、当然札幌の芝への適性も半端ではないわけです。

7枠12番の馬が4角インベタで先頭に立つという、札幌のコース特性を熟知した豊さんの騎乗ぶりがとても際立っていた、クイーンSでした。やっぱり豊さんがいると、競馬が変わるな。
面白いレースでしたね。


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日時: 2010年08月20日 10:00
カテゴリー: ラップの話